なぜ、ドクターはへき地や離島に行きたがらないのでしょうか?

都会には病院やクリニックが数多くあり、患者さんに選んでもらうために様々な工夫を凝らしています。そうしなければ生き残っていけないほど、競争が激化しているからです。一方、へき地や離島へ目を向けると、医師不足が顕著であり、ある程度の住民がいるにも関わらず半径4kmの区域内に医療機関がない、または受診しにくい無医地区もたくさんあります。

厚生労働省が行なった平成26年度無医地区等調査及び無歯科医地区等調査によると、無医地区は637地区、その人口は124,122人との結果が出ています。現在、無医地区となっていない地域であっても医師不足に悩まされている地域は数多く、この状況を打破しようと国や自治体があらゆる施策を打ち出していますが、決定打となるものはあまりないのが現状です。

では、なぜへき地や離島に医師を呼ぶことが難しいのでしょうか?

まず一つに、その労働環境があげられます。

へき地や離島にある殆どの医療機関は、小さな診療所です。当然、ドクターも一人、看護師はいても薬剤師などコメディカルはいないという状況は決して、珍しくありません。

そのため、都市部のように夜間休日の診療を交代で行うことは困難です。ドクターが一人しかいませんから、必然的に24時間体制にならざるを得ず、休まるときがほぼ無いという状況に陥ってしまいます。

 

また、へき地や離島では総合医としての力が求められます。そのため、専門性を重視してきた日本の医療では、このような場所に行きたくても行けないという声も聞こえてきます。

さらに、緊急時には設備の整った大きな病院へ搬送することになりますが、予想以上に時間がかかることも多く迅速な判断が不可欠です。まして、ドクターは一人ですから個人の負担が大きく、今後はさらに他病院や専門医との連携が必要となってきます。

 

そして、ドクターにご家族、特にお子さんがいらっしゃる場合は、進学も含めて教育面がとても気になるところです。へき地や離島は都市部と比較して進学先が圧倒的に少ないため、へき地や離島医療に興味があったとしても、お子さんの年齢によっては見送るということも考えられるからです。

 

このような医師偏在を解消するために近道はありません。

コストをかけて医師を呼ぼうとしている地域もあれば、大学の医学部入学時に地域枠を設定し、一定期間その地域にとどまって医療を提供してもらう取り組みをしている地域もあります。

離島医療情報ネットワークでは、各地域の取り組みをご紹介していますが、ぜひ広く知ってもらいたいという情報があればメッセージをお寄せください。

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