香川県の遠隔医療はどうして進んでいるのだろう?
瀬戸内海に浮かぶ四国には、周辺に多くの島々が存在しています。
そのうち、島の北東部に位置する香川県は、全国でもっとも面積が小さい県になりますが、とっても大きな取り組みをしています。
●ITが支える離島医療
離島のみならず過疎地域も多く抱える香川県は、全国平均と比較しても人口あたりの医師数が8割弱であることに加え、他の過疎地域と同じく住民の高齢化も急速に進んでいる地域です。そのため、以前からネットワークを生かした遠隔医療システムに力を入れています。
平成15年から、このシステムに活用されているのが “かがわ遠隔医療ネットワーク(K-MIX)”です。
妊婦さんのデータ管理が発端となって始まったこのネットワークは、レントゲン画像をはじめとした患者さんのデータを共有しながら、遠隔にて専門医のアドバイスを仰ぐことが可能です。従って、専門医とは離れた場所で診療を行っていたとしても、的確な判断を下すことができるようになります。
また、紹介した患者さんの経過も見ることができるので、再び病院へ戻ってきた時に、詳細なデータ情報を確認しながら診療を行えるというメリットもあります。
さらに、K-MIXを基盤として“ドクターコム”という電子カルテ機能統合型TV会議システムを加えることで、直接的に医師と患者さんや医療従事者、また地域の病院と大学病院をつなぐことができるようになりました。最大のポイントは、リアルタイムでコミュニケーションが取れるという部分であり、これがスムーズな遠隔医療を支えています。
比較的低価格でパソコンだけではなく、他のモバイルツールからもアクセスできる点や使いやすく簡便であることもメリットのひとつといえるでしょう。素晴らしいシステムであっても、使いにくければ宝の持ち腐れになってしまいますからね。広くアクセスできる環境が整うことで、より一層、システムを活用する施設も増えていきます。
●かがわ医療福祉総合特区がさらに後押し
システムが普及していくにつれて、医師法や薬事法に関わる大きな壁にぶつかります。それを少しでも打破できるような方向に働きかけることができるのが、かがわ医療福祉総合特区です。そして、これを活用した在宅看護を担う看護師の育成が行われています。
その名も、オリーブナースです。オリーブの産地として有名な小豆島を抱える香川県ならではといったネーミングですね。
看護師が簡易なものであっても、医師の指示によらない処置などは出来ないのですが、システムの使用方法や一定の検査に関する研修を受講したオリーブナースであれば、特区による規制緩和のもとで行える範囲が広がります。
離島や過疎地域を支えることができる遠隔医療、さらに多くの地域に普及することでより良いシステムに生まれ変わっていきそうですね。
<参考>
内閣府地方創生推進事務局
かがわ医療福祉総合特区
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/sogotoc/toc_ichiran/toc_page/t24_kagawa.html
総務省
香川県のかがわ遠隔医療ネットワーク(K-MIX)
http://www.soumu.go.jp/soutsu/shikoku/ict-jirei/iryou02-kagawa.html
かがわ遠隔医療ネットワーク(K-MIX)
香川県看護協会