離島での不妊治療の現状について(パート2)
今回も離島での不妊治療についての続編をお送り致します。
離島からの患者さんが多く通院されている鹿児島市のまつだウイメンズクリニックの松田和洋院長のご協力を得て、離島から通院して、妊活をされていた4名の皆さまにインタビューをさせて頂きました。
今回の記事は後半の2名の方の取材となります。1人目は十島村、2人目は喜界島の方です。ぜひご覧くださいね。
★不妊治療患者さんインタビュー(3)
~十島村から鹿児島市への通院~
不妊治療をはじめたきっかけについて教えてください。
私は十島村に住んでいるのですが、2016年に結婚して早く子供が欲しいと思っていました。そのため、タイミング法など自己流で取り組んでいましたが、2年経っても授からなかったので、そろそろ病院に行くことも考えた方が良いと思い、色々と検索し始めました。
松田ウイメンズクリニックを選んだのは、なぜでしょうか。
鹿児島では不妊治療の助成金がもらえる病院がいくつか指定されているので、その中で検索すると松田ウイメンズクリニックが最初に出てきたのがきっかけです。また、クリニックの場所も繁華街の中にあったのも大きかったですね。
離島からの通院で大変だったことを教えてください。
交通手段はフェリーだけです。それも週に2便。
月曜日と金曜日の夜11時にフェリーが出航し、鹿児島から離島をまわって奄美へ行きます。そこから折り返してくる便に乗って鹿児島へ行くことになります。
ただし、月曜日に鹿児島へ行くと金曜日まで自宅へは帰れないですし、生理の何日目に来てくださいという指示もあるなど、仕事も調整しながらの通院になります。
交通費と宿泊費については全て村が出してくれますが、私の場合は観光客が多くてホテルが取れないことが多発したので安いアパートを借りました。それについての補助は出ないですね。
不妊治療は大変なことも多いと思いますが、どのようにモチベーションを維持していたのでしょうか。
元々、主人も子供が好きなのですが、2年前に主人の妹に子供が生まれて可愛がっているのを見て、やはり自分の子供を抱かせてあげたいという思いだけでしょうか。
旦那さんは不妊治療に協力的でしたか?
自営業で時間の融通は効く方でしたので、仕事がない時は一緒に病院へきてくれました。
クリニックのサポートについてはいかがでしたか?
先生はもちろんのこと、看護師さんが他の病院とは違ってすごく優しかったというイメージがあります。「何でも聞いてくださいね」と言われたことが、本当にありがたかったですね。
離島で不妊治療をする人に向けてのアドバイスなどあればお願いします。
とにかく、前もって余裕のある行動をして欲しいと思います。
離島から通うとなると、天候によっては船が出ないこともあり、そうなると治療が無駄になってしまいます。そのため、天気予報もチェックして、危ないなと思ったら前日入りするなど前もった行動をすることで後悔しないのかなと思います。
これから、不妊治療に取り組もうとされている方々に向けてメッセージをお願いします。
ただでさえ不妊治療は大変ですが、辛い時には島の風景を思い出しながら心穏やかに治療に取り組んでもらいたいと思います。
クリニックの皆さんへのメッセージがあればお願いします。
いつも優しくしていただいて、ありがとうございます。
一患者でしかない私の事情を皆さんが共有してくださったので、本当にすごいなと思いました。治療についても相談しやすかったので感謝しています。
★不妊治療患者さんインタビュー(4)
~喜界島から鹿児島市内への通院~
こちらのクリニックを選ばれたきっかけについて教えてください。
インターネットで色々と検索をしていたところ県のホームページにたどり着き、そこに掲載されている指定医療機関の中から松田ウィメンズクリニックを見つけました。そして、病院のホームページや口コミを調べ、自分に合うと感じたので通うことに決めました。
やはり、雰囲気も良さそうでしたし、プライバシーに配慮して患者さんの名前を呼ばないというところにも好感がもてましたね。
離島から、どのくらいの期間、通院されていたのでしょうか?
今回は2人目が欲しくて通院していたのですが、1人目の時は半年くらい通っていました。治療を開始した当時、私は奄美大島にいたのでそこから飛行機で通っていましたね。
奄美大島からだと便数も多いですし飛行場も大きいので、他の離島よりも天候に左右されにくく影響は少なかったです。でも、やはり強風で欠航になることはあったので、そういう時にはどうしても治療のスケジュール調整が難しく苦労しました。
そのため、重要な治療の時は前泊するなど、余裕を持って通院していました。
モチベーションはどのように維持されていましたか
一番は、先生たちを信頼して、妊娠できると信じることですね。また、私たち夫婦の場合は、男性不妊が原因でしたので、どうしても不妊治療に頼らなくてはいけないという状況がありました。
そうなると、自然妊娠は難しいのですが、逆に考えると自分たちのスケジュールに合わせて治療ができるとプラスの方向に考えるようにしていました。
また、病院のホームページに「HAPPY NOTE」という妊娠して卒業された方のコメントが乗っているのですが、それを見てパワーをもらっていました。
パートナーは協力的でしたか?
とても協力してくれました。採卵など、体力的にも精神的にも大変な治療の時は子供と一緒についてきてくれましたね。やはり、一人で治療するとメンタル的に大変なところがあると思うので、協力してくれると次に進みやすいと思います。
クリニックでは、どのようなサポートを受けられましたか?
治療に関しては、本当にどんなことをするのか最初はわからないままスタートしたのですが、病院では丁寧に説明してくださり、スケジュールも事前に教えてくれたので助かりました。
検査に関しても、しっかりと内容を教えてもらえたので、そこは安心して治療を受けることができましたね。
また、受付や看護師の方もプライバシーに配慮してくださいましたし、私が離島から来ているので天候や時間にも気を使っていただきました。常に、「大丈夫ですか?」と声をかけてもらえたのが心強かったです。
1人目のお子様は、自然妊娠されたのでしょうか?
いいえ、1人目の時も松田先生にお世話になりましたが、1回目ですんなりと妊娠することができました。ただ、初回はどうしても検査からスタートするので半年くらいかかってしまったのですが。
2人目の時は、1人目の時に採卵してキープしておいた凍結卵があったのでそれを戻したのですが、3回トライしてもダメだったのでとてもショックが大きかったですね。凍結した卵の方が確立的には着床率が高いと聞いていたので、なおさらです。
でも、先生は「1人目の時に上手くいったタイミングで、また戻そうね」と丁寧に説明してくださったので安心しましたし、再び採卵して戻したものが今回、上手くいったのでよかったです。
本当に、先生はゴッドハンドをお持ちだと思います。
離島から不妊治療に通う場合の、工夫などあればお願いします。
どうしても、夏の時期は台風も頻繁にくるので、自分の体調を整えつつ、移動することは必須だと思います。
本当は、鹿児島に前泊するときに美味しいものを食べ、買い物をするという楽しみ方もあったのかもしれませんが、何回も治療で通っていると楽しむという気持ちの余裕がなくなり、ホテルに着いたら明日の治療のために体を休めようという感じになっていましたね。
そして、治療後は疲れ切ってしまい、終わったらすぐ島へ帰ることばかり考えていました。
私は余裕がなかったのですが、リフレッシュできるようであればそういう時間も楽しんでみるといいかもしれません。
離島から不妊治療にトライされる方へ向けたメッセージがあればお願いします。
絶対に諦めないで欲しいということですね。
私が治療を始める前、なかなか子供に恵まれない友人がいたのですが、その人が鹿児島の病院へ行ったところ、離島からだと治療が難しいと断られてしまったと聞きました。
でも、絶対にそんなことはないですし、全力でサポートしてくださる先生や病院は必ずあるので諦めないで欲しいですね。
どうしても、年齢の問題があって治療の時間は限られているので、できるだけ早く予約をして治療を進めて欲しいと思います。
クリニックへのメッセージをお願いします。
私たちは、病院の先生やスタッフの方の力がなければ子供を授かることができなかったので、本当に感謝の気持ちしかないです。
また、主人の治療のために松田先生が泌尿器科を紹介してくださいました。
手術をしてみないと本当に精子が取れるかどうかわからないという状況の中、紹介先の先生も精子を見つけてくださったので、感謝しかありません。
今は、2人目を育てて無事に出産することが目標ですが、まだ凍結保存している卵が残っているので、落ち着いたら3人目でまた松田先生のところにお世話になりたいと思っています。
★まとめ
インタビューの内容はいかがだったでしょうか?
2回目の今回も前回同様、濃い内容でお送りしました。
前回同様に時間の問題、スケジュールの問題などがあるのと、プライバシーの点で非常に気にされているなど、やはり島特有の人間関係の濃さによる精神的なプレッシャーみたいなものがひしひしと伝わってきました。
それから良かったなと思うのは、今回も旦那さんの協力的な部分が印象的だったことです。
やはり、離島での不妊治療のように、かなりハードな治療においては夫婦で力を合わせて行うことが最終的な結果に結び付いていくのかなと感じた次第です。
最後にこの場をお借りして、インタビューご協力頂いた皆さま、そしてつないで頂いた松田先生に心より感謝申し上げます。
ご協力:松田ウイメンズクリニック(鹿児島市天文館)