どこの自治体であっても、医師不足である地域を抱えているものです。
へき地も含めたそういった地域に対して、どのような医療体制を整えていくのかについては様々な議論があるところかと思いますが、おそらく自治医科大学の存在抜きには語れないのではないでしょうか。
それもそのはず、自治医大を設立した経緯がそもそも地方医療と深いつながりのあるものだったからです。
●自治医大はなぜつくられたのか?
日本の医師不足や偏在化、総合医の必要性は今に始まったことではありません。
昭和の時代から懸念されていた事項であり、これらに対応するため1972年、都道府県によって栃木県下野市に設立された私立大学が自治医科大学になります。
●へき地医療にどのような貢献をしているの?
よく知られていることですが、自治医科大学は入学時に学費を用意する必要がありません。通常、医学部へ進学するためには多額の費用が必要となりますが、その心配がいらないのです。
学費が不要というよりも、学生時代に必要な学費について貸与を受けるといったほうが適切です。卒業から9年間は、入学時に選択した都道府県内の指定病院で勤務する必要がありますが、その条件をクリアした時点で返還が免除になるのです。
もし、指定された病院で勤務をしなかった場合は、学費に利子をつけて返さなければなりません。
自治医科大学は、この制度を活用して卒業生を医師不足の地域へ派遣をするなど、地域医療に貢献しているのです。
●入るのは難しいの?
医学部ですから当然、高い学力が必要となります。しかし、それだけでは入学することは難しいかもしれません。
というのも、自治医科大学の入学試験は都道府県単位で行うので、出願時に出願地となる都道府県を選択することになります。それが、卒後の勤務先となるのです。
出願地の選択についてはかつてとは少々異なり、現在は出身高校や出身中学、現住所や保護者の住んでいる地域の中から選ぶことができます。
各都道府県で数名の合格者が割り当てられていますので、学力が高い志願者が集中する地域では難易度も上がりますし、反対に希望者が少ない地域では合格する確率が上がるという仕組みです。
ちなみに、この制度を取っているのは医学部だけで、看護学部については通常の入試が行われています。
私立大学とはいいながらも、設立経緯からみると他の医学部を抱える大学とは異色を放っているのが自治医科大学であり、地域医療を担うような人材を毎年、輩出しているのです。
<参考>
自治医科大学
http://www.jichi.ac.jp/index.html
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