中国地方の北側、日本海側に面している島根県は東西および南北が長い県として知られており、そのために地域別の人口にも偏りが生じていることは否めません。そのような状況の中、特に産科医療に関しては、地方のみならず島根県全体として医師や分娩できる医療機関が減少しており、妊婦さんにとっては安心して産むことができる場所が限られてしまっています。
この状態が続くであろうと予想される島根県では、医師不足の解消に取り組むとともに、妊娠から分娩に広く携わることができる助産師の力も積極的に取り入れています。
その中の一つとしてあげられるのが、「院内助産システム」です。
妊娠中には思わぬトラブルが生じることもありますが、大きなトラブルなく順調な経過のまま出産を迎える方もたくさんいらっしゃいます。
そういった妊婦さんに対しては、助産師外来にて妊婦健診をはじめとした妊娠中のサポートを行い、分娩についても異常がなければ助産師が全面的に携わっていくというシステムです。
助産師外来を備えた病院は増えつつあり、導入することによって医師の負担を軽減させることができるというメリットがあります。そして、何よりも妊娠中のサポートから産後のアドバイスまでを一貫して受けやすい環境ですので、妊婦さんにとっては大きな安心感を得ることができます。
さらには、助産師の方々にとっても、これまで以上にご自身の実力を発揮できるのではないでしょうか。
また、島根県では中高生を対象とした非常にユニークな試みも行われています。
これからの進路に現実味が帯びてくる中高生のうち、看護師や助産師に興味がある学生を対象とした「中学生・高校生の1日看護学生・看護体験」を実施しているのです。
施設見学だけではなく、実際に患者さんの介助や血圧の測定など施設によって体験できる内容も異なっています。白衣やユニフォームを着用する場合もあるそうなので、よりリアルに看護師や助産師という職業を感じられることでしょう。
他県から医療従事者を引き寄せるとともに、地域の中で育んでいく姿勢も大切にしている島根県の取り組みをご紹介しました。これからも、離島医療ネットワークでは、各地域のユニークな事例を取り上げていきたいと思います。
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