みなさんは、九州にある長崎県を訪れたことはありますか?
大小様々な島が存在し、その数はなんと600ほど。実に、長崎県の半数近くを離島が占めているという県です。
全ての島に住民が住んでいるというわけではなく無人島も多いのですが、本当に離島医療の必要性が叫ばれている自治体の一つといってもいいでしょう。そのため、離島医療に対する取り組みも古くから行われていました。
●県独自の奨学金制度
その中のひとつに、県が独自で実施している長崎県医学部修学資金制度というものがあります。
これは離島医療を担う人材を確保するため、1年あたり5名程度の医学部生に対して、在学中に必要な費用を貸与するというものです。貸与してもらえる費用の中には入学金や授業料のほか、上限はありますが必要な書籍の購入費用や生活費用も一定の範囲内であれば貸与してもらえることになっています。
当然のことながら、卒後は一定期間、離島医療を中心とした病院で勤務する必要があります。
長崎県がこの奨学金制度を始めたのは昭和45年です。
同じく、離島やへき地医療に対する医師の養成を目的とした自治医科大学が設立されたのが昭和47年ですので、いかに長崎県がかねてより離島医療に危機感をもっていたかが伺えます。
●新・鳴滝塾構想事業
長崎県では、医師免許取得後の臨床研修医先として県内の病院を選んでもらおうと、新・鳴滝塾構想事業が進められています。
この事業では、初期及び後期臨床研修先として長崎県内の病院に関心がある方を対象とし、病院見学のコーディネートや旅費、研修のサポートを行うといった活動をしています。
また、研修医としては地域がいくら魅力といえども、何を学ぶことができるのかということは重要な選択肢のひとつです。そのため、優秀な指導医を育てようと海外での教育研修に参加できるようにするなど、指導者側についても様々な取り組みがなされています。
もう研修医は待っていれば来てもらえる時代ではありません。いくら大きな施設や自治体であっても、やはり魅力がなければ人は集まりません。
優秀な人材に長くとどまって定着してほしい。そのような強い思いが感じられる長崎県の取り組みをご紹介させていただきました。
<参考>
長崎県 医療人材対策室
https://www.pref.nagasaki.jp/section/iryo-ji/
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