ドクターインタビュー

竹富診療所〜石橋 興介先生インタビュー!!

今回は、沖縄県の離島にある竹富町立竹富診療所の石橋 興介先生にお話しをお伺いすることができました!

竹富島は石垣島から高速船で15分程度、沖縄ならではといった風景が色濃く残る人気の観光地です。石橋先生は、2015年にこの島の診療所に着任され、島の方々の健康管理やその意識改革などに積極的に取り組まれています。

その成果が評価され、先日には、第一回沖縄県健康づくり表彰の健康づくり地域活動部門で表彰されております。離島医療ならではの魅力や苦労も聞かせていただいた、本当に興味深いインタビューとなりました。

それでは、気になる内容をどうぞ!

竹富診療所の石橋先生です。

 

ドクターになられた、きっかけを教えてください。

元々、祖父と父親が外科医でした。ただ、小さい頃は父親が全く家にいなかったので、父に育てられた記憶がありません。そのため、正直に言うとそんなに忙しい仕事には就きたくないというのが本音で、医者には興味がなかったですね。

学生当時、行きたい高校があったのですが落ちてしまったので、実は、高校には行かずに大学検定を受けています。そして、コンビニでバイトなどをして生計を立てていたのですが、その頃の楽しみといえばお金を貯めて旅行に行くことでした。中でも、八重山が一番好きでしたね。

八重山の西表島へ来たときに、たまたま釣りをしている人と出会い、その方がドクターでした。恐らく県からの派遣という形で来ていたと思うのですが、その方が言っていたことが今でも心の中に刻まれています。

そのドクターの「生まれ育ったところで最後を迎えるということが本来のあるべき姿だけれども、離島はそれができない。だから自分はもがきながらも、そういったことができるように島で働いている」という話を聞き、面白そうだと直感的に感じました。なんとなくですが、離島などで働くお医者さんであれば、自分の中で想像できるかなと思ったのが21歳の夏でしたね。

そして、医学部進学を決意し、岩手医科大学へ入学しました。学生時代も夏休み、春休みなどの長期休暇のときには必ず八重山、特に竹富島を好んで訪れていました。

大学を卒業後は沖縄に勤務していましたが、父親の調子が悪いということもあり、福岡に戻ることになりました。そして子供が生まれたのですが、その直後に、知らない番号から電話があったのが竹富町からでした。誰かしらか、私が離島医療をやりたいということを聞いたようで、電話をかけてきてくれたのです。

学生時代からいつか離島医療に携わりたいと感じ、それができるのは若いときかリタイヤしたときのどちらかだと思っていました。

父親の調子もそれほど良くはないことに加えて子供が生まれたばかりと、条件はあまり良くなかったのですが、これを逃したら多分、竹富島からのオファーはもうないだろうと決断に至りました。

 

●ご家族には反対されませんでしたか?

妻を説得するのに約1年かかりました。妻は埼玉出身なのですが、実は、八重山が好きな人たちの集まりを通じて、知り合ったという縁があります。

しかし、妻にこの話をしたときに、子供の環境や教育の面を考えると住むことは難しいと言われ、かなりもめましたね。結果的には、周りの協力もあり、納得してくれましたが、住むのは期間限定で4~5年が限界といったところでしょうか。

 

竹富島に来られてどのくらい経ちますか?また、実際に来てみて、診療所での医療活動はどうですか?

こちらに来て、ちょうど2年になります。

やはり、島の人の健康に対する意識は、来た当初に比べるとかなり変わったと感じています。

学生時代の頃から、働き盛りの世代、特に65歳未満の死亡率の高さが問題となっている『沖縄クライシス』については、有名なので知っていました。

実際に島に来てデータを調べてみたのですが、亡くなった方に占める65歳未満の割合は、沖縄県が5ポイントくらい突き放して、ダントツで全国トップです。竹富町はそれよりも高く、男性に至っては33%、つまり、亡くなっている方の3人に1人が65歳未満なのです。これは、かなり問題だろうと島へ来た時に感じました。

 

65歳未満の死亡率が高い背景には、どのような問題があるのでしょうか?

竹富町は、1人あたりの医療費が約12,000円/月と全国の半分ほどです。結局、これは定期的な受診ができていないからなのだろうと思っています。

さらに、竹富町の入院と外来の費用額の割合をみると、入院に占める費用額が非常に多いので、検診や通院をせずに重症化し、入院するというケースが多数を占めているということがわかりました。

 

島民の方々の健康状態はいかがでしょうか?

昨年の3月31日で一旦、区切ったデータがあるのでご紹介します。

竹富島は360人で構成されている島で、そのうち成人は280名くらいですが、高血圧の方が61名、脂質異常の方が42名、糖尿病の方が17名いました。これらの疾患は、脳卒中や心筋梗塞などの危険因子になります。

加えて、この危険因子を1つだけ持っている方が29名、2つ持っている方が27名、3つ全て有している方が17名という結果が出ました。

危険因子を3つ持っている17名について詳しく調べてみると、30代から60代の働き盛りがほとんどであり、その中にはすでに脳卒中、心筋梗塞を発症している人もいました。

 

島民の健康状態を受けて、竹富島ではどのような取り組みをされているのでしょうか?

竹富島では色々な取り組みを始めています。

まずは、竹富町と公民館で既に行われていた「ぱいぬ島健康プラン21」に積極的にコミットし、島での健康への取組みを強化することにしました。

このメンバーは、診療所のスタッフや公民館、役場の保健師や管理栄養士、小中学校の校長や郵便局長、老人会や婦人会、青年会代表といった島の要職についている人たちで構成されています。

活動内容は、島の疫学データを共有し、ウォーキングや医療講話、料理教室などの企画や運営の実施、振り返りまで一貫して行い、それらについて地域住民を巻き込むようにしています。

竹富島で長く過ごせるように、そして最後まで迎えられるようにという私の強い思いがあったので、これをコンセプトに、「体を動かす健康づくり」と「心と頭の健康づくり」この2つを軸にいま、島では健康づくりを行っています。

 

体を動かす健康づくりについて、具体的に教えてください。

これは、体力測定会、健康体操教室、三世代ゲートボール、清掃活動、歩け歩け運動の5つで構成されています。

体力測定会に関しては、まずは自分の体力がどのくらいあるのかを知ってもらうようにしています。若い人から老人まで対象にしているのですが、こういったときには普段、診療所にこない人も参加してくれます。そのため、血圧計などをもっていき、測定データが得られるようにしています。

健康体操教室では、普段、使わないような筋肉を動かすようにしています。ウォーキング会もやっているのですが、それだけでは飽きるということで、こちらでは無酸素運動をメインに取り入れています。

そして、三世代ゲートボールでは、子供から大人まで、世代間の交流を図るために、ゲートボールで汗を流してもらっています。子供達は小学生から参加していて、大会前になると、おじいちゃんおばあちゃんと子供達が一緒に練習しています。

また、みなさん日常的に動かないので、どうしたら動いてくれるのだろうと考えた結果、月に1回は住民総出で美化活動、島の掃除を行うようにしています。そうすると、公民館主導で動いてくれるので、ほぼ全員参加で動いてくれますし、島も綺麗になって運動にもなります。

最後の歩け歩け運動ですが、竹富島は観光業の島なので、本当にみなさん歩かずにちょっとした距離でも車に乗ります。竹富島の外周道路は3キロ強なのですが、一周歩くなんてとんでもないという感覚ですね。

そのため、ウォーキングの普及や定例化を図るために、毎週火曜日に公民館が全島放送で歩きましょうと放送してくれています。そのおかげもあって、最近では多いときは20~30人くらいは歩いてくれています。

やはり、メタボの人には歩いてもらいたいので、そういった方にはこちらから積極的に声をかけていますね。

 

心と頭の健康づくりについてもお聞かせください。

こちらは医療講話、キャリア講演会、心肺蘇生講習会、料理教室、古謡教室、保健指導、禁煙外来・喫煙防止教室の7つで構成されています。

まずは医療講話です。

いまはネットで間違った情報がたくさん、流れていますよね。正しい情報を発信するという目的で、昨年はニーズが多い、がんや生活習慣病、命に関わる病気と在宅診療を中心に、全国から先生方に来ていただき、竹富島で講話してもらいました。

次に、キャリア講演会です。

これは、私が重点的にやっている1つなのですが、やはり島出身の医療従事者というのが島の健康を守る上で必ず必要になってくると思っています。ただ、歴代の先生や看護師は内地の人だったので、辞めてしまうと健康管理がうまくいかなくなってしまいます。

どうしても、島出身の医療従事者の誕生が望ましいということで、診療所スタッフが小中学校まで出向いて、年に1、2回ほど島の医療の現状や、奨学金の話や医学部・看護学部にいくためのルートを紹介し、将来的に八重山の医療に関わって欲しいと伝えています。

3つめは、心肺蘇生の講習会です。

診療所は、私と看護師、事務の3人で運営しているので、どうしても急患のときは消防団の力がかなり必要となってきます。島には消防署がないので、消防団はボランティアで構成されており、みなさん普段は仕事をされています。

そういった方々には正しい医学教育が必要だということで、日本ACLS協会の方にお願いをして竹富島で心肺蘇生法に関する講習会を開催してもらっています。これをやっていて良かったと思うことが、ちょうど昨年起こりました。

講習を受けた消防団の方が、2ヶ月後にたまたま那覇のレストランで心肺蘇生が必要な方に遭遇し、その方が助かって那覇市消防局から表彰を受けたということがありました。

そして、料理教室ですね。これは役場の管理栄養士と一緒にやっているのですが、女性に関しては希望制、男性についてはメタボの人に絞っています。

そのほか、体の健康だけでは面白くないので、島の文化や伝統を残すために心の健康もみんなで育もうと、公民館主体で月に2回、古謡教室を始めました。歌を歌ったり太鼓を叩いたりしているのですが、竹富島は伝統芸能の島なので古謡がたくさん残っています。

65未満の働き盛りの人がいなくなると、島の文化や芸能を残すことができなくなるので、そういった活動も少しずつですが行っています。

保健指導については、私が島に来て、一番力を入れていることかもしれません。

役場の保健師と一緒に、未治療の人や検診を受けていない人、治療中でもコントロール不良の人のところへ、時間を見つけて、家庭訪問しています。

その成果がいま、少しずつ出てきているところです。

竹富町は4,200人くらいの人口なのですが、全国に5,000人未満の市町村が218ある中、検診の受診率がかなり上がってきています。これは、島民の健康への意識が少しずつ上がってきている証拠ではないでしょうか。

最後は、禁煙外来ですね。喫煙者には積極的に声をかけて禁煙外来に来てもらうようにしていることもあり、喫煙者は随分と減りました。

ただ、やはり中にはうまくいかない人もいますね。そういった人のために、小中学校から依頼されて、タバコやドラッグの害について、年に1、2回ほど話をしています。私たちが話した内容を、子供から親に伝えてもらうのです。それでうまくいった方もいました。

そして、島に来たときに気がついたかもしれませんが、竹富島にはタバコの自動販売機がありません。商店の店頭販売も中止しています。これについては、店主が禁煙外来に来た時に、自分の店に置いておくと吸いたくなるし、自分が禁煙した証にお店からタバコを撤去したいという店主の希望でなくなったので、自発的に島の流れとしてやめてもらうことができました。現在、竹富島ではタバコが手に入らない状態で、それで喫煙率が約40%弱も減りましたね。

動脈硬化になる因子をどんどん削っていこうとした時に、タバコはどうしても外せないリスクファクターですから良いことだと思っています。

ただ、竹富島では買えないのですが、石垣島では買えるので、吸う人はみなさんまとめ買いするようになりました。ですが、これがきっかけでやめた人も複数いますので、少しずつですが上手くいっているのではないでしょうか。

このような活動をメインに行っていたところ、第一回沖縄県健康づくり表彰 地域活動部門グランプリを受賞することができました。

 

これは、竹富島の規模感だからできることかもしれないですね。

そうですね。少人数だからできることであって、石垣島のように何万人規模になると難しいですね。そのため、今後は市町村の中でもエリアごとに健康づくりの取り組みを行い、競うようにしていけば長野県のようになれるのではないかと思っています。

沖縄県は元々、長寿のところでしたが、もうそう言えません。現在は、平均寿命が全国で30位程度ですが、それは今の老人が頑張っているからです。あと15年、20年経つとその人達がいなくなり次の世代が来るので、間違いなく男女ともに47位になると思います。

 

竹富島に来て、思っていたことと違うことはありましたか?

行事が多いですね。月に2回平均、年間24回あります。

私は診療所だけに集中しているので、行事には参加することができませんが、その代わりに診療の時間外も診ていることでバランスをとっている部分があります。

また、島は話題がないので、良い情報も悪い情報もネットより早いですね。

子供のこともあるので妻が2ヶ月、埼玉の実家に連れて帰った時は、知らない間に離婚していることになっているということもありました。

買い物も旅行の時とは違うと感じた部分です。

石垣に出て一週間分のものをまとめて買ってきていますが、生活が非常にやりにくいですね。必要なのもがすぐに手に入らないことはストレスをどうしても感じてしまいます。

医療の面に関して言うと、市中病院に勤めていた時はわからないことがあった場合、各診療科に相談すれば教えてくれましたが、今はそれができません。子供から大人、そして外傷、外科から内科まで全て診なくてはいけないので、それが難しい時もあります。たまたま、今日のお昼は台湾人の方が来院されたのですが、英語も日本語も通じないという中での診療はやはり大変だと感じましたね。

そして、今までと一番違うことは、コメディカルの人たちがこんなに大切だと思わなかったということです。それはかなり感じますね。

離島にポンと投げられたら、看護師、医療事務、消防団、島民みんなの協力がないと絶対にうまくいきません。これまで内地の病院でしてきたことは全く実績にもなりませんし、エコーもないのでて手探り状態です。先日も、500キロ近くある釣鐘が子供の足に落ちてきて開放骨折があったのですが、そのようなときに今までの事例について教えてくれたり、アドバイスをくれることは本当にありがたいですね。

日々の診療の中では、どのような疾患が多いのでしょうか?

高血圧や脂質異常、糖尿病や骨粗鬆症など生活習慣に関するものですね。あとは観光客の熱発等への対応でしょうか。一般内科領域が多くなっています。

ちょうど島に来た初日に、救急で脊椎損傷がありました。そして、一週間後に脳梗塞がありましたので、その当初は慌ただしかったですね。また呼吸状態が悪くても、酸素が通常の病院のように壁からは出てきません。搬送の途中で酸素ボンベの酸素が切れて呼吸状態が悪くなってしまったことがあり、挿管の準備までしたのですが事なきを得たということもありました。やはり、限られた医療資源の中でやるのは大変ですが、その分、やりがいも大きいですね。

 

急患は、石垣島や沖縄本島へ搬送するのでしょうか?

基本的には石垣島への搬送となります。

八重山の医療圏の中でも、竹富島は直接、船で搬送することができます。夜中であっても、消防団の人が船を出してくれますし、夜でも定期船が走っています。特に、ここは内海なので、そんなに船は揺れないですしね。

他の島であれば、海保ヘリや民間の船(要は漁船)にお願いすることになります。

実は、救急指定病院として県立八重山病院と石垣島徳洲会病院が指定されているのですが、これらには脳神経外科や心臓外科がありません。徳洲会については、救急指定病院でありながら常勤の先生は数名しかおらず、研修医がいてようやくといった感じです。

次に、沖縄本島への搬送に関してです。

西表島や小浜島、波照間島については、県立診療所なので、親病院である八重山病院を迂回せずに本島へ患者搬送をすることができないという暗黙のルールがあるようです。一方、竹富島と黒島は町立診療所なので、それに当てはまらず、なおかつ、竹富島だけは県から許可をもらい、直接本島への搬送が昨年の12月からできるようになりました。現在、石垣島を除く八重山の離島で直接搬送できるのは竹富島だけですね。

先日、ヘリの訓練をして、実際に自衛隊のヘリを飛ばしうまくいったので、今後は脳や心臓といった緊急を要する疾患に関しては、こちらの判断である程度送ろうとは思っています。

ただし、自衛隊ヘリで運ぶためにはある程度、根拠が必要となります。診療所にはCTなどがなく、医療資源が限られるので、その判断は難しいですね。心臓に関しては、心電図や血液検査を使い、心筋梗塞だけはこちらで確定判断まで可能となりました。しかし、脳に関しては、可能性で搬送するしかないのかもしれません。

ちなみに、与那国島には県の一括交付金で購入したCTが入りました。そのため、海上保安庁のヘリの出動回数は減ったということを聞いています。やはり、心筋梗塞や脳卒中などは命に関わりますし、時間との勝負になりますので、拠点病院には治療を完結出来るような救急医療体制の強化に努めて欲しいと思っています。

 

やはり、脳や心臓に関する疾患の搬送件数が多いのですね。

沖縄県からの報告によりますと、八重山の脳出血における死亡者数は、平成15年から19年で81名、平成20年から24年では143名と増えています。その原因を関係機関と一緒に調査しているところなのですが、感覚的に言うとおそらく飲酒と肥満ではないかと思っています。

毎日、飲酒をしてなおかつ3合以上飲んでいる方が13.8%と、全国と比べると非常に多いのです。さらに、1日1時間程度、運動する割合も著しく低く、20歳に比べて体重が10キロ以上増加している方も多数います。

国の発表によると、1日1合以上飲む方は明らかに脳出血のリスクが上がることがわかっています。これらと拠点病院に脳外科がないことと、離島の救急医療搬送体制等の合わさっての結果だと考えています。

 

竹富島に来てよかったと思うことは何ですか?

プライベートに関しては、それほど変わらないですね。内地にいる時と同じように仲良しができて、といった感じです。

島の人に野菜をもらうようになったのは、嬉しいですね。

 

医療の面に関しては、今までよりも明らかに、患者さん一人と話す時間が増えました。これまでは、患者さんの名前と抱えている病気が一致しなかったのですが、島に来てからは島の方の殆どについて、飲んでいるお薬や病気が頭に浮かびます。

急患の時など運ばれてきた時にすぐ、必要な検査などの計画が立ちますし、搬送する一つの基準にもなりますね。

あとは、コメディカルとの距離がとても近いので、いい関係が築けています。

前任の先生が辞めたときに当時の看護師もやめたので、この診療所の看護師は私と同じ時期に、沖縄本島から来てもらっています。事務の方は東京出身なのですが、島の方と結婚されて、もう島に20年ほどいらっしゃいます。

私はもともと、糖尿病代謝内科を中心にやっていたのですが、幅広く診療できるようになりました。将来、医者としてやっていく上では、このタイミングで学ぶことができたということは非常に大きいことだったのかなと思っています。

 

今度のビジョンを教えてください。

最終的には、福岡の実家を継ぐことになるかと思います。兄弟もドクターではないので、将来的にそこの基盤をきちんと築いていかないといけないということは思っていますが、そこまで開業に対してはそそられないですね。

気持ちとしてはこちらで長く続けたいと思っているのですが、子供の教育の面などもありますので、どうしても期間限定になってしまいます。

今後のビジョンとしては、竹富島で疫学のデータを出すことがとても面白いと思っていますので、福岡の疫学データを出して問題を掘り起こすようなことを行政とやっていきたいという気持ちはすごく大きいですね。

また、竹富島には将来的にも携わっていきたいと思っていますし、いまあるデータのさらなる構築や、島での健康づくりが今後どのように展開されて値が変化するのか、ということをみていきたいですね。

もうひとつ、島で取り組んでいこうと思っていることがあります。

ここは町立診療所なので、役場が医者をみつけなくてはなりません。それでは上手く行かないことも多いのが実情です。

いま、全国で上手くいっている自治体の中には、診療所長に医師を探す権限を与え、即ち、特任課長に任命し医者を探すというシステムとを取っているところもあります。それをヒントに、私の後任は役場に探す権限をもらい、島民と共に後任を探し、その先生が休むときには歴代の先生を代診に立てるという流れを作ろうと、島の公民館長や重鎮達と話をしているところです。

私もまた島に来たいですし、どのように変わっていくかを見届けられるようなシステムを構築したいと思っています。

 

なかなか大きな壁があるのではないでしょうか。

おそらく、全国的にそうだと思うのですが、町立診療所同士はある程度交流あるのですが、県立診療所との交流はほぼないですね。

町立診療所の先生は、辞めるタイミングは自分たちで決めることができます。しかし、県立診療所の先生達は、自治医大出身の先生が多く、僻地勤務2~3年間の縛りがあります。自分の希望ではなく、とにかく任期が終わったら沖縄本島に帰ることができるというイメージで来られている感じがしますので、他の県立診療所はこういった健康づくりは進みにくいでしょうね。

竹富島で私が上手くやれているのは、もうひとつ理由があります。

これは全国的にかなり珍しい組織だと思うのですが、竹富診療所を支援する会というものがあります。歴代の公民館長など、要職についていたような方で構成されているのですが、定期的に診療所へ来てくれて、いま私たちがストレスに感じていることや問題などを聞いてくれます。

そして、それを支援する会で集まって方向性を出してくれるのですが、これはかなり有難いですね。支援する会に話すからこそ、下の世代が納得してくれるということも多々ありますので。

 

患者さんや、読者に伝えたいことがあればお願いします。

やはり、私は竹富島が好きでここに来ているので、自然がどんどん壊れていっているのは心苦しいですね。残したい自然がありますし、お祭りや文化もあります。島の人達がなぜ、それらを守りたいのかという願いを辿ってみると、そこには自然や歴史、伝統を守るということが見えてきます。

ただ、それを守るためには、いま生きている人間が健康であることがどうしても重要になりますので、私たちが健康づくりに参画することで島を守ることにつながると信じています。

みなさんがつなげたいと思う真剣な思いは子供達にも受け継がれていくので、この健康に対する取り組みがいつか当たり前になることを願って、今後も介入していきたいですね。

これらの取り組みは、島民や行政も深く関わっていることなので、先日いただいた賞はみんなでとったものだと思っています。

 

まとめ

離島の中でも比較的、島民の数が少ない地域だからこそ出来る取り組みをされていらっしゃる石橋先生のお話には、とても感銘を受けました。また、直に話しを聞いてみなければわからないことも多々あり、とても勉強になりました。

離島では、ドクター一人だけの力では難しいことも多く、島民の協力があってこそ実現することが多い反面、地域住民を巻き込むことができれば円滑に進めることができ、石橋先生はまさにそれを実践してらっしゃいます。

また、自分の代だけではなく、後任のことまで視野に入れていらっしゃることは、本当に島民のことを考えているのだろうと強く感じました。

石橋先生、貴重なお時間を頂き、ありがとうございました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

 

★竹富診療所

http://www.ritoushien.net/taketomi.shtml

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