わたしたちは、いつどこで、どのような病気や事故に遭遇するかわかりません。
昨日まで元気だった人が突然、交通事故にあうかもしれませんし、健康診断をきっかけに病気が発覚することだってあることでしょう。
そのとき、症状や怪我の状況を考えて、病院や診療科を選ぶことになりますが、離島やへき地では必ずしもそうできるとは限りません。なぜなら、病院も診療科も選ぶほど多くはないからです。
だからこそ、そういった土地で診療にあたる医師は、幅広い知識が求められています。とはいえ、すべての病気や怪我を診ることができるわけではありません。
今回は、その中のひとつとしてあげられる産婦人科および新生児科について取り上げようと思います。
以前、こちらで出産に関わる制度についてご紹介させていただきました。
離島での出産を支える制度とは?
https://remote-health.net/birthsupprt.html
離島での出産率は意外と多いのですが、必ずしも適した環境がそこにあるかというと、そうではありません。島外に出て、出産を試みる妊婦さんもいらっしゃいます。
しかし、自分が住んでいる島で安心して出産できる環境が整っているとしたら、どうでしょうか。
妊娠中はちょっとしたことで不安を感じやすく、早産や妊娠高血圧症候群、高齢出産などのリスクを抱えていることも少なくありません。これらは、十分に用心していたとしても避けることができないこともありますし、妊娠・出産時だけではなく、生まれてくる赤ちゃんへのケアも求められています。
例えば、未熟児や何らかの疾患を抱える新生児に対して、手厚いケアを行ってくれるのが新生児集中治療室(NICU)です。NICUは、どこの病院にも備わっているわけではありません。まして、離島やへき地といった地域にあることはとても少なく、仮に、特別なケアが必要なお子さんが生まれた場合は、本島など大きな病院へ運ぶ必要が出てくることでしょう。
妊婦さんが少しでも安心して生むことができる環境をつくろうと、沖縄県の宮古島にある県立宮古病院では、およそ4年前からNICUが開設されています。出産はいつ起こるかわからないので24時間体制がひかれていますし、こちらの産婦人科には、種々のリスクを伴う出産を控えている妊婦さんが通っていらっしゃいます。
このような体制を取るためには人員も設備も必要なので、並大抵の努力ではできませんが、本島まで行かなくても自分の住んでいる島で、あるいは近隣の島々で手厚いケアが受けられるのであれば、もっと心地良いお産ができるのではないでしょうか。
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