離島やへき地での医療を支えているのは医師だけではありません。
もちろん、医師という存在はとても大きく、いなければ成り立たないものです。しかし、医師が一人いれば十分というものではなく、看護師や薬剤師といった医療従事者や事務を担う方の力も、円滑な医療を行っていくために非常に重要な役割を果たしています。
そうはいいながらも、やはりどの職種においても人材不足は顕著であり、人員の確保は急務です。そのため、自治医科大学をはじめとした医師を養成する大学の中には、卒後に一定期間、医師の遍在化に悩むへき地や離島地域への派遣を行っているところもあります。
実は、こういった取り組みは看護師を養成する学校などでもなされており、近年広まりつつあります。
例えば、離島を多く抱えている地域の筆頭としてあげられる長崎県には長崎県立大学がありますが、ここでは平成26年度より「離島看護師特別枠」を新しく創設しています。募集定員は2名と多くはありませんし、条件は色々とありますが、特別枠の対象者には奨学金が貸与され、卒後は長崎県の離島にある病院で働くこととなります。
また、同じく長崎にある長崎大学では、離島医療を志す医師とともに看護師も離島看護師推薦枠として一般入試とは別途、入学の門を広げています。
もちろん、こういった取り組みは長崎県だけではありません。
海士町などを有する島根県では、県として看護師を養成する学校に在籍している方を対象とし、卒後に離島や過疎地域で一定期間、勤務することを条件に奨学金の貸与を行っています。
これらが即、離島医療の人員不足の解消になるかといえばそうではないかもしれません。しかし、へき地や離島での医療に関心を持っている学生に対して、その歩みを援助して後押しできるような活動を広げていくことは今後のへき地や離島医療にとって重要な位置付けになるのではないでしょうか。
人口が減少の一途を辿っている日本では、医療の遍在化はもはや人ごとではありません。どのような地域にいても医療サービスの恩恵を受けることができるよう、様々な角度から考えていかなければならない時代に、既にわたしたちは置かれているのですね。
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