東京都には数多くの離島も存在し、近年、観光・レジャースポットとして人気を集めています。
そのひとつが、2011年に世界遺産に登録された、小笠原諸島です。
■小笠原諸島ってどんな離島?
小笠原諸島は30余りの島々を村域としていますが、住民が居住しているのは父島と母島です。
東京から1,000km南に位置し、交通手段は船のみ。便は、観光客の多いシーズン(7月~8月、GW、年末年始)で3日に1便、オフシーズンで週1便程度。竹芝桟橋から片道約25時間半を要します。
ホエールウォッチング、ドルフィンスイム&ウォッチング、シュノーケリング、ダイビング、シーカヤック、釣りなど、様々なマリンアクティビティが楽しめます。写真で見てみると、「本当にここは東京都?」と疑いたくなるような、自然豊かな島です。
人口は父島が約2,000人、母島は約500人。訪れる観光客は年間2万人程度と言われています。
注目したいのは、小笠原村は高齢化率が東京都内の他の市町村で最も低く、子どもや若年層が比較的多いということ。
東京都に属するといえど、都心かなり離れていて交通の便はとても不便なのに、これは特筆すべき事柄だと思います。
■小笠原諸島の医療体制は?
そんな小笠原諸島ですが、医療体制はどうなっているのでしょう?
小笠原諸島には、父島に『小笠原村診療所』、母島に『母島診療所』がそれぞれ設けられています。
小笠原村診療所・母島診療所とも、内科や外科だけでなく、小児科・産婦人科・精神科・歯科など多数の診療科目があります。現在、小笠原村診療所の医師は3名、母島診療所の医師は1名。常勤医がプライマリケアを実践するとともに、カバーできない疾患は内地の協力病院から専門医に定期的に来てもらうことで、専門診療を行っています。小笠原村診療所には、有料の老人ホームも併設されています。
診療所で対応できない救急患者が発生した場合は、東京都を通して、海上自衛隊に患者の搬送を要請し、飛行艇やヘリで都内の病院へ搬送となります。
■小笠原諸島での妊娠・出産の状況は?
村内では産科医の確保や分娩体制の問題から、出産はできない状態となっています。そこで、出産するためには、定期船に乗って、妊娠8ヵ月位の状態で上京せざるを得ないのだとか。
そこで、妊婦さんの精神的・経済的な負担を少なくするため、村では内地での出産に対し出産支援金の支給や分娩及び長期宿泊滞在が可能な病院の確保・紹介など、さまざまな支援を行っています。
ちなみに、妊婦数は例年約20人前後だそうです。
■観光客に対するあたたかい心遣い
小笠原村診療所のHPには、「観光客の方へ」というページが設けられていて、観光をより楽しむための注意事項が丁寧に書かれています。Q&Aコーナーもあります。
HPを見ていると、現地の医療スタッフのみなさんの、現地の人たち、そして観光客に対するあたたかい心遣いがよく分かります。
小笠原諸島に観光やレジャーに行く際は、小笠原村診療所のHPにはぜひ目を通しておいてほしいものです。
****
離島は都会の病院と違って、やはり医療に関する設備や物資など十分に揃ってはいないのが現状です。
そこで気をつけたいのが、観光やレジャー中の事故。もし村内で対応できない緊急事態となると、より大勢の人間が関わってくることになります。そうなると、現地で医療を受けるべき村民のみなさんが、適切な時期に受けられないこともあり得るかもしれません。
なにより、観光やレジャー中の怪我・病気等が減ると、旅の思い出がより楽しいものになりますよね。
小笠原諸島だけでなく、離島に旅行する際は現地での行動には十分に注意し、防げる怪我や病気は防ぐよう意識を持っておきたいですね。
(ライター・黄本恵子)
<参考>
この記事へのコメントはありません。