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離島経済新聞社(リトケイ)鯨本編集長インタビュー

今回は、離島経済新聞社ことリトケイの統括編集長、鯨本あつこさんにお話を伺いました。国内にある約420島の有人離島に焦点をあてたリトケイは、その魅力や伝統文化、島づくりへの取り組みなどを広く紹介するメディアを運営されていらっしゃいます。

離島医療ネットワークと志を同じくする部分もあることから、今回インタビューさせていただく運びとなりました。

リトケイ誕生のきっかけや鯨本編集長の素顔に迫る内容となっております。

鯨本編集長です(シマナイトでのご講演)

●リトケイを作られたきっかけについて教えてください。

立ち上げのきっかけは世田谷ものづくり学校で開催されていた社会人向けのスクールで、立ち上げメンバーと島に出会ったことでした。
2010年の春にスクールを受講し、編集者やデザイナーといった多くのクリエイターの中から気の会う仲間ができ、彼らと一緒に何か面白いメディアを作りたいと考えはじめました。

一方、同級生の中に広島県の大崎上島に移住する方もいて、仲間と一緒に島へ遊びに行った時に島の魅力にとりつかれました。

●リトケイはソーシャルメディアのほかに紙媒体もありますが、どのくらいの方が見ているのですか?

紙の『ritokei』は毎号1万部になります。離島地域や島にゆかりのある人が手に取る場所にフリーペーパーとして無料で設置していて、設置ポイントは全国700カ所近く。離島地域では約140島に置いていただいており、ほかにもサポーター会員等に直接お届けしています。ウェブ版『ritokei』の読者は約2〜3万人です。

季刊ritokei(リトケイ)です!

北海道・本州・四国・九州・沖縄本島以外の有人離島の人口は、全て合わせても60万人強ですので、一般的にはとてもニッチな分野だと思いますが、そこに島のファンや出身者などを含めると、その数は何百万人にも膨れ上がります。

リトケイは10月に8周年を迎えましたが、最初の頃は離島地域の魅力に気付いてくれる人を増やすことを目的に媒体づくりを行なっていましたが、ここ1〜2年で島々の地域づくりのヒントになれるようシフトしてきました。

リトケイの読者は、島に暮らす人、島にゆかりのある人、仕事などで関係されている人、島ファンなどが中心ですが、ここ数年で読者の層も島づくりに興味のある人が増えてきた印象です。

●離島メディアに携わって、良かったことは何でしょうか?

離島地域に住んでいる方は、日本の中でも最も自然に近い場所で生きていように思います。島には自然と共存し、さらに、その中で生きている人と人とがつながりあって生きている暮らしがあります。そういう地域で生きている方々に直接お話を伺えることが、私の喜びですね。

取材を通して私自身も教えてもらうことが多いのですが、島に暮らす方々は、都市住民が失いかけている自然の中で暮らしていくために必要な知恵、人と人とがつながって生きていくために必要な知恵、そういった必要最小限かつ必要不可欠な知恵を持っていらっしゃいます。

ただ、それらは言語化すると普遍的な表現になってしまう、いわば「当たり前」の知恵のため、メディアに載せた時に新しさがなく、人に届かないこともありますね。

でも、多くの人たちに知ってもらえるよう、敢えて、島の人が思う当たり前も言葉しています。

このようなイベントを企画されており、多くの離島関係者と共に盛り上げておられます!

最近では、リトケイを読んだ島の人々が、他島の動きを参考にするケースも増えてきたため、そういった意味では当初の狙いからは違う役割を担うようになってきました。

たとえば、地域づくりの事例だけでも全国の離島地域で様々な取り組みが行われていますが、意外にも「隣島の取り組みは知らない」という人は少なくありません。そのため、リトケイを使って全国の島々から注目すべき取り組みを抽出し、参考にしていただいてます。

●リトケイを運営していく上で、大変だったことは何でしょうか?

やはり、お金の面ですね。
リトケイでは、できる限り、SkypeやSNSなどテクノロジーを活用したり、地元の方に協力していただいたりしながら経費をかけないようにしていますが、島を知るためには実際に訪れる必要もあります。そうすると、当然ながら時間とお金がかかります。

リトケイは何の後ろ盾もなく組織を立上げ、運営してきましたので、離島地域を訪れるためにかかる交通費負担だけでもかなりの重さです。

私はこの仕事を始める前は、経済誌の広告を作っていましたので、世の中のメディアで広告が売れなくなっていることも理解していますし、そもそもリトケイで一般的な広告モデルが通用するとも思っていなかったので、事業として成り立たせるまでの道のりは長かったですね。

組織を安定稼働させることはもちろんですが、取材や事業などに協力いただいている島の方々との信頼関係を築くことは一朝一夕でできることではないので、離島に特化するのは簡単ではありません。でも、私たちの場合は離島に特化しているからこそ出口も見えはじめています。

●鯨本編集長はお子さんがいらっしゃるとのことですが、事業を続けながらの出産育児は大変だったのではないでしょうか。

最初に出産したのが2015年なのですが、それまでは起きている間は全て仕事に使うことができていました。2010年に立ち上げてから約4年半、スタートアップの時期はずっと仕事をしていたのですが、子供を育て始めると1日のうち8時間くらいは家事や育児にあてなくてはいけません。

だから、昼夜問わず自分の都合で自由に動けるような暮らしはできなくなりますし、子供たちを守るには、自分の健康も守らなければならないので寝る時間も大事になります。そうすると、仕事をする時間も半分以下になってしまい、やりたいことはたくさんあるのに出来ないことが増えてきてしまうという状況に陥ってしまうわけです。

出来ると思って進めていた事業がダメになったケースもあったので、バックヤードではいつもやきもきしていますが、出産育児をきっかけに、夫の実家のある那覇や私の実家がある大分県に住まいを変えるなど、周囲にサポートしてもらえる環境に移ったことで、幸いにも夫や家族、会社の仲間たちのフルサポートを受けながら、何とか両立出来ています。

●リトケイの今後の課題は何でしょうか?

2010年にリトケイを立ち上げた当時は、インターネット上で離島の情報を得ることが難しい状況でしたが、8年経つ間にSNSの一般化で島からの発信も増え、テレビなどのマスメディアでも毎日どこかの島が特集されているような状況になりました。

「離島」という存在が情報の世界で目立ってきたことは良いことだと思うのですが、一方で、島々の人口に目を向けると、かなりのスピードで人が減り、学校や病院のような公共インフラが消えた島もあります。

結局、私たちが様々な情報を提供したとしても、島の人口が減り、島がなくなってしまうと、素敵だなと思っているような島の暮らしがどんどん減っていくことになります。

そこに歯止めをかけるには、子育て世代や島の若手が島を支えられるような環境づくりが絶対的に必要だと感じています。

シマナイトでは多くの島の特産品やお酒がふるまわれていました!

リトケイではこれまで、情報発信や事業のほかでは島々に対する具体的なアプローチをほとんどしていませんでしたが、最近では読者や企業・団体にサポーターとなっていただき、一緒に島の未来をつくれるよう「島の未来づくりプロジェクト」という動きをはじめています。

島の課題は大きく、教育・医療・交通をいわれているので、これらの分野でも島々の課題を解決するヒントを集めていきたいと思っています。

島の医療環境については、どの島にも完璧な医療環境をつくることは難しいと思います。ですが、島の未来を考えると、将来島を担うかもしれない子供たちが住める環境は必要なので、子育て世代が住みやすい医療環境はあってほしいなと思います。

●リトケイをNPO法人にされた理由についてお聞かせください。

最初は株式会社でしたが、非営利団体との共同事業や、寄付やサポーター会費を受け付ける活動に力を入れるため2014年からNPO法人になりました。株式会社でも非営利でも、私たちの気持ちとしては変わりませんが、非営利のほうが「リトケイと一緒に何かしたい」「何か島の役に立ちたい」とおっしゃる個人や企業と連携しやすいように思います。

●注目されている島や事業などあれば教えてください。

地域づくりに関して先進事例が多いのは、島根県の海士町(中ノ島)ですね。
海士町や産業振興と高校の魅力化を中心に島づくりを行なっていますが、教育分野では、広島県の大崎上島町が2019年に中高一貫校、グローバルリーダー育成校(仮称)を開校予定し、海士町と同様に高校の魅力化プロジェクトも進めています。地域づくりは人づくりですので、教育を軸にした島づくりには注目しています。

リトケイでは離島留学も特集していますが、離島留学を実施している島では、留学生となる子供はもちろん、親や兄弟などにもコアな島ファンができていると聞きました。島の関係人口が増えるコンテンツとして、離島留学にも期待しています。

●ご自身が好きな離島はありますか?

一つには絞れません。
例えば、美味しい魚だったらあの島、果物を食べるならこの島、お祭りであればあの島が面白いと言ったように、テーマによってあちこちに魅力的な島があるので、総合的に好きな島はなかなか決められません。

●離島には医療資源が少ないのでセルフケアが必要だと思うのですが、何か感じられていることはありますか?

島によりけりですが、車社会の島だとみなさん歩かないですね。子供達も含めて、あまり運動しないことが問題だと聞くことはしばしばあります。。

狭い路地があって、坂道を毎日歩かなければならないような島であればどの世代もよく歩いているのですが、多くの場合は車で移動してしまいますね。

あとは、南の島になると食べ物が腐らないよう、おのずと揚げ物が多くなります。カロリーオーバーになりやすいので、気にしたいですね。

●今後のビジョンについてお聞かせください。

リトケイでは今後も離島地域が健やかに持続していけるよう、島の未来づくりになる活動を進めていきたいと考えています。メディアを介した情報発信や、島づくり事業のほか、島の未来を担う子供達を対象にした教育コンテンツにも力を入れていきたいので、そのための資金確保にも力を入れたいです。

いかがでしたか?
離島の魅力や島づくりのヒントがたくさん詰まった『ritokei』は、こちらからご覧になることができます。

『ritokei』
http://ritokei.com

皆さんもアクセスして是非、島の魅力や取り組み溢れる記事をのぞいてみてくださいね。

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