数回にわたり、北海道の知床や羅臼町の魅力や医療についてお伝えさせていただきました。
特に、副町長自らインタビューに応じてくださった知床らうす国民健康保険診療所の現状については、記憶に新しいところです。
今回は、地域の医療を存続させるために指定管理者制度を導入した知床らうす国民健康保険診療所を運営している社会医療法人 孝仁会の齋藤孝次理事長にメールでの質疑応答をさせていただく機会に恵まれました。それをこちらでご紹介してまいります。
●理事長が医師になろうと思われたきっかけを教えてください。
私は、父が電電公社(現NTT)に勤務していたため、NTTに勤めようと考えていました。たまたま札幌医大が公立で受験料も安いため、北大(理類)のすべり止めで受験しました。合格したあと、高校の先生の勧めが強く6年間勉強できる(遊べる)と思い行くことになりました。
●脳神経外科を選ばれた理由を教えてください。
テニス部の先輩に誘われました。
●1989年から病院やクリニックを作り続けてきた原動力を 教えてください
釧路地区は脳卒中をみる病院が非常に不足しており、各医療機関、住民が困っていたため。あとは住民の皆様の需要に応じて展開していきました。国の政策の変遷も大きく影響しました。
●医療機関を運営していくにあたり、人の問題が一番だと 思いますが、このように素晴らしい医療機関ネットワークを作り あげていったコツはあるのでしょうか?
人に恵まれました。優秀な人材確保が一番だと思います。あとは理念ですね。
●知床羅臼診療所の指定管理者制度はどのようにして話が進んだ のでしょうか?
脇 前町長に頼まれました。当初は無理と断っていたのですが、強い押しに負けました。
●このようなへき地医療を支えようというお気持ちは生まれたのは 何かきっかけや理由があるのでしょうか?
へき地で頑張っている先生たちをみると私にもできることがあるのではと。
●日本全国のへき地や離島医療にも同じような形でサポート出来る といいなと思っているのですが、なかなか広がらない理由とどうすれば いいかを理事長の見解で教えて頂けると幸いです。
日本の政策としてたとえば、専門医の受験資格にへき地医療1年の実績、開業には1年のへき地医療実績が必要という義務化対策を設けなければ難しい。権利と義務なのでは。
●孝仁会のナース育成プログラムは素晴らしいと思っており、これも 全国の離島やへき地のナース希望者に夢のあるモデルだと思っております。 これについて解説を頂けますか?
基本、医療人としての人間性を磨く、その上に知識と技術の向上、生涯学習が大事である。
●北海道の中でも都市部以外は医師の確保が徐々に難しくなっている と伺います。その点について理事長のご意見や見解を教えてください。
必ず地方勤務を義務付ける。医師の育成にも非常に良い効果があると考えられる。
●今後の孝仁会のビジョンを教えてください。
・高度急性期は更に先端の医療を目指す。
・高度急性期、急性期、回復期、維持期、在宅の連携を、地域を中心に更に、地域包括ケアシステムの一翼を担えるよう介護分野とも連携する。
●羅臼知床診療所との連携における今後のビジョンを教えてください。
人口動態に合わせ身の丈にあった医療を。
どのような医療を必要としているのか、住民のニーズに応えていきたい。
●最後に読者に伝えたいことがあればぜひ。
人口減少に直面している僻地医療は今後増々大変になります。
これを守るために国をあげて体制を整備することが必要であると考えます。
地域の医療を守るために様々な取り組みをされていらっしゃる姿勢には、本当に頭が下がります。
お忙しい中、インタビューに応じてくださり有難うございました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
<参考サイト>
社会医療法人 孝仁会
http://www.kojinkai.or.jp/index.html
知床らうす国民健康保険診療所
http://www.kojinkai.or.jp/hospital/hp-rausu.html
羅臼町鈴木副町長インタビュー(知床らうす国民健康保険診療所 常勤医師募集!!)
https://remote-health.net/rausu-interview.html
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