医師の遍在化が進む昨今において、人々が住むすべての地域に必要な人材を確保することは難しい課題です。そのため、医師が不在となるところも少なくないわけですが、そういった地域で重宝され始めているのが診療看護師です。
●診療看護師とは?
診療看護師とは、通常の看護師としての知識や経験に加えて、大学院で医学知識や特定行為に関わる教育や研修を受けた方々のことを表しています。
現在、看護師が行える範囲は限定されています。しかし、医師の指示のもとではありますが、そこから一歩踏み込んで、診療行為を広げられるのが診療看護師です。
どのようなものが特定行為に該当するのかというと、例えば、経口用または経鼻用気管チューブの位置の調整やインスリンの投与量の調整、脱水症状に対する輸液による補正など、より高度で専門的なものが対象となります。
診療看護師の活躍によって、患者さんの状態の変化や異常などに、より迅速に対応して医療の質を高めていくことができると言えます。
●なぜ、離島で重宝されるのか?
診療看護師は近年、国立病院などで積極的に採用されており、さらなる知識や経験を積んでいるので給与や手当の面においても優遇されています。
しかしながら、そういった大きな病院には医師や研修医など診療を行える人材も多いことから、実際に携わることができる行為に制限がかかってしまうことも考えられます。
ところが、離島やへき地に目を移してみるとどうでしょうか。
医師が少ないどころか、診療所があっても週に1、2日しか医師がいないということも珍しくありません。
そのような環境だからこそ、遠隔診療の力を借りながら、医師の指示のもとで特定行為を行うことは、離島やへき地に合ったスタイルといってもいいのではないでしょうか。
実際に、診療看護師は国立病院以外にも、離島を多く抱える長崎県や沖縄県の診療所において積極的に採用され始めています。このような事例が進めば、診療看護師としての経験を積むことができますので、住民と診療看護師、双方にとって良い方向に向かっていくのではないでしょうか。
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