瀬戸内海には、淡路島をはじめとする数多くの島々が点在しており、その数は無人、有人あわせて3000ほどと言われています。気候は穏やかで、降水量が少ないことでも有名ですね。
島がひしめく地域だからこそ、海路は他地域よりも充実しています。今は本土と島をつなぐ橋が存在する地域もありますが、それは大きな島だからこそ。小さな離島は、容易に本土へ行くことができません。
そのような、瀬戸内海に浮かぶ島々に暮らす人たちを支える医療として活躍しているのが巡回診療船「済生丸」です。昭和37年から歩み始めた済生丸は、船だとあなどってはいけません。現在、運行しているのは四代目になりますが、その設備はまさに病院そのものが海に浮かんでいるようです。
診察を含めた基本的な検査ができるのはもちろんのこと、心電図やマンモグラフィ検査も行うことができます。
巡回診療の対象となっているのが、瀬戸内海を囲む岡山県、広島県、香川県、愛媛県の4つの県が有する島々です。医師や看護師に加えて、各医療技術者が状況に合わせて乗り合わせているので、幅広い診療を行うことができるのです。
また、済生丸の使命は診療や検査だけではありません。阪神淡路大震災の時にはたくさんの物資を積み込んで災害救助に駆けつけていますし、地域医療を担う人材の育成のため研修医や実習生の受け入れもされています。
研修医は、研修プログラムの中に地域医療を学ぶ期間がありますので、こういった積極的に受け入れてもらえるところがあるというのは、本当にありがたいことですよね。
そして、特に済生丸が力を入れているのが、予防医学です。いくら離島の巡回診療が充実しているとはいえ、不調を感じてすぐに受診できるような環境ではありません。時に、数日待たなくてはいけないことだってあります。
そういう状況をできるだけ作り出さないよう、自分の体をよく知り、守ることができるように各種検診に加えて、健康教室の開催なども行われています。
予防の大切さは離島だけに限ったことではありませんよね。普段の生活の中でも、急に怪我や病気になってしまうと、何もかもが滞ってしまいます。周りに知り合いがいなければ助けてもらうことも難しいかもしれません。
離島医療という括りの中であっても、わたしたちがそこから学ぶべきところがたくさんあるのではないでしょうか。
瀬戸内海巡回診療船 済生丸
http://www.okayamasaiseikai.or.jp/saiseimaru_cal/
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